2012年11月10日土曜日

【命令文】


 命令文について考えます。


    Open the window.


 ポイントは2つです。


    1.なぜ命令文には「動詞の原形」が使われているのか

    2.なぜ命令文には「主語」(YOU)が省略されているのか


 まず1から説明します。
 
 「動詞の原形」は、動詞の現在形(三単現のSがつかないもの)と同じ形をしていますが、表している内容は現在形とはまったく異なります。


    動詞の現在形: 「具体」を表す

               目の前の現実を表す

    動詞の原形: 「抽象」を表す

              頭の中の想像を表す


 この違いを例文で説明します。


    ア.You open the window everyday.    (動詞の現在形)

    イ.Open the window everyday. (動詞の原形)


 アは「あなたは毎日その窓を開ける」という習慣をもっているという意味です。この場合の習慣とは定期的に繰り返される「事実」のことです。このように現在形は目の前にある現実、つまり「具体」を表しています。

 イは「あなたは毎日その窓を開ける」ということを話し手が頭の中で想像し、まだ現実となっていないその想像を実現化させるために、「毎日その窓を開けなさい」と命令しているという意味です。このように動詞の原形は話し手の頭の中の想像、つまり「抽象」を表しています。


    1.なぜ命令文に「動詞の原形」が使われているのか

→命令文はまだ現実となっていない話し手の想像を実現化させるための発話であり、そのため話し手の「想像」を表すことができる(「抽象」を表すことができる)「動詞の原形」を利用しているため。


 次に2の「なぜ命令文には「主語」(YOU)が省略されているのか」です。

 
    ア. You open the window.

    イ.  Open the window.


 まず、命令文のすべてが主語(YOU)を省略しているわけではありません。アのような命令文もあります。

 ではなぜ主語(YOU)が省略された命令文ができたのでしょうか。

 それはアはイに比べかなり高圧的な響きとなってしまうからです。アのYOUは「あなた」というよりも「お前」という感じです。そのためより柔らかい響きにするためYOUが省略された命令文ができたと考えられます。


    2.なぜ命令文には「主語」(YOU)が省略されているのか

→YOUをつけるとあまりに高圧的は響きとなってしまうため、それを和らげるためYOUを省略した命令文ができたため。


 主語(YOU)が省略された結果、文頭にくるのは動詞の原形となります。それによっていっそう話し手の「想像」が強調されるているようにも感じられます。

 以上のように、命令文においても「具体」と「抽象」の区別という英語の特徴を発見することができます。


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