
2012年9月2日日曜日
【不定詞】3
不定詞は「定まらない品詞」という命名ですが、なぜ命名者にとって定まらないように見えたのでしょうか?
それはやはり、不定詞がいろんな品詞に姿をかえるからでしょう。ある時は名詞、ある時は形容詞、そして、ある時は副詞など、あたかも「何でもあり」のように見えます。
ところが、不定詞はまさにこの「何でもあり」なのです。理由は、不定詞は「抽象度が高い」からです。
では、「不定詞の抽象度の高さ」とは何でしょうか?現在形と比較してみましょう。
動詞の現在形
I play basketball every day. (~する)
不定詞+動詞の原形
To play basketball is fun for me. (~すること)(名詞的用法)
I have a promise to play basketball. (~するための)(形容詞的用法)
I went to the park to play basketball. (~するために)(副詞的用法)
I will (to) play basketball tomorrow. (~する)(原形不定詞)(動詞的用法)
現在形(play)と不定詞(to play)の違いについて以下の点があげられます・
・位置 : 動詞 < 不定詞
・機能 : 動詞 < 不定詞
・意味 : 動詞 < 不定詞
*「抽象」の度合い=「拡張」の度合い
位置とは置くことのできる場所です。現在形は主語の後だけですが、不定詞はまさに「何でもあり」です。また、置く場所が変われば、機能(品詞)や意味もかわってきますので、この3つは密接に関連しています。「抽象」度が高いとは、「拡張」されていることを表しています。動詞よりも、不定詞は「位置」「機能」「意味」が拡張されています。
不定詞には「名詞的用法」・「形容詞的用法」・「副詞的用法」・「動詞的用法」がありますが、これは不定詞が「抽象」を表しており、動詞に比べ、位置・機能・意味が拡張された結果、備わった用法である、と考えることができます。
同様に、不定詞は「目的」・「原因、理由」・「結果」・「程度」を表しますが、これも不定詞が「抽象」を表しており、動詞に比べ、位置・機能・意味が拡張された結果、備わった意味である、と考えることができます。
では、不定詞はなぜこれほどの「拡張された抽象度」を獲得できたのでしょうか?それは、動詞の原形とto不定詞ともに抽象を表しますが、その動詞の原形が「to」と結びつくことのよって「独立した句」を形成し、その独立性のため、いろいろな位置をとることができ、その結果いろいろな機能(品詞)や意味を獲得できた、と考えられます。
不定詞(to) + 動詞の原形 = 「独立抽象句」 → 「何でもあり」
ちなみに、不定詞の名詞的用法の場合、この名詞は「抽象」としてとらえられていますから、不可算・冠詞なし、となります。(ただし、話し手が、それを「具体」的にとらえている場合は、可算・冠詞あり とすることもできますが、ほとんどないでしょう。)
以上のように、不定詞は「抽象」の度合いが高い、ということは、話し手の「想像」のおもむくまま、不定詞を使用することができる、ということです。ですから、この「なんでもあり」の不定詞は、文脈に即して柔軟に使用し、意味づけ行うことができるのです。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿