2012年10月21日日曜日

【大文字】


 「大文字」ではじまる名詞の「大文字」は何を表しているのでしょうか?

 英語の表記はアルファベットですが、アルファベットには大文字と小文字があります。

 そして、英語には大文字ではじまる名詞と、小文字ではじまる名詞があります。この違いは何を表しているのでしょうか?

 大文字ではじまる名詞には次のようなものがあります。


        Tokyo 「東京」 (地名)

        Tom 「トム」 (人名)

        Mars  「火星」


 要は、固有名詞です。

 固有名詞の「固有」とは、「1つしかないもの」という意味です。つまり、「世界で1つしかないもの」を大文字で書きはじめる名詞のことです。

 そして、おもしろいことに、この「世界で1つしかないもの」は、英語では「抽象」としてとらえられているのです。なぜなら、固有名詞は「不可算・無冠詞」だからです。

    
    固有名詞(世界に1つしかないもの) :  「抽象」を表わす 


 ところで、1つしかないものは、1つはあるわけであるから、可算、つまり、「具体」ではないかと思われるかもしれませんが、そうではありません。

 数えられる(可算である)ものは、それが複数あることを前提としています。したがって、複数ではなく、1つしかないものは「数えることができない」という扱いとなり、不可算、つまり「抽象」となるのです。無冠詞にしているのも同じ理由からです。

 では、なぜ大文字ではじめるのでしょうか?

 それは、やはり「世界に1つしかないもの」(抽象)を他の「世界にたくさんあるもの」(具体・抽象)から区別するためであると考えられます。

 「世界に1つしかないもの」は、他のものに置き換えることができないわけですから、特別な存在です。そのユニークさを表すために、大文字を使用していると思われます。


      固有名詞を大文字ではじめる理由 

   : 世界に1つしかなく、置き換えができない特別な存在だから 

     (「抽象」を表す)


 この「抽象」を表すという点がポイントです。というのも、固有名詞の抽象度と、他の小文字の名詞の抽象度を比較した場合、前者のほうが高いという特徴があるからです。


    固有名詞の抽象度 > 他の名詞の抽象度


 この理由は、「世界に1つかないもの」のほうが、「世界にたくさんあるもの」よりも、より不可算・無冠詞の扱いとなるため、より抽象度が高くなるからです。

 したがって、冒頭の問い、「大文字」ではじまる名詞の「大文字」が何を表わしているか、の答えは以下のようになります。


   「大文字」ではじまる名詞(固有名詞)の「大文字」が表わしているもの

   : 「抽象」の度合いが、他の名詞よりも高いことを表している

     (抽象度の高さを表している)


 固有名詞の大文字にも、「抽象」がとる「形」というポイントが隠されています。

 そして、この大文字には、単に「具体」と「抽象」の形による区別、ということだけではなく、「抽象の度合い」の形による区別、というポイントがあることが特徴です。

 最後に、大文字にする名詞の他の代表的な例として、 I (私) があります。

 次に、この  I (私) について考えていきます。


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