
2012年12月9日日曜日
【「具体」と「抽象」の「一致」と「不一致」】
「具体」と「抽象」の「一致」と「不一致」という視点から、あらためて “pen”について考えます。
1. a pen 「具体」
2. pens 「具体」
3. the pen 「抽象」
4. the pens 「抽象」
5. pen 「抽象」
これまで「具体」・「抽象」を以下のように定義してきました。
「具体」 : 現実に目の前にあるもの
「抽象」 : 頭の中で想像するもの
これをもう少し精緻化すると次にようになります。
「具体」 : 現実に目の前あるものと頭の中で想像するものが「一致」
→ 「具体」と「抽象」が「一致」
「抽象」 : 現実に目の前あるものと頭の中で想像するものが「不一致」
→ 「具体」と「抽象」が「不一致」
説明します。
話し手が現実に目の前にあるもの見てそれについて話をするということは、現実に目の前にある「具体」を見て、それについての頭の中での想像と一致させて言語化している行為です。
これが「具体」と「抽象」が「一致」であり、「具体」を表わします。
一方、現実に目の前にあるものとは無関係に、頭の中での想像だけで言語化するという「抽象」のみの行為もあります。
これが「具体」と「抽象」が「不一致」であり、「抽象」を表わします。
「具体」 : 「具体」 = 「抽象」
「具体」と「抽象」が「一致」
「抽象」 : 「具体」 ≠ 「抽象」
「具体」と「抽象」が「不一致」
さて、この概念で “pen”について考えると次にようになります。
1. a pen 「具体」 = 「具体」と「抽象」が「一致」
2. pens 「具体」 = 「具体」と「抽象」が「一致」
3. the pen 「抽象」 = 「具体」と「抽象」が「不一致」
4. the pens 「抽象」 = 「具体」と「抽象」が「不一致」
5. pen 「抽象」 = 「具体」と「抽象」が「不一致」
1,2は、現実に目の前にある pen を見て、頭の中での pen の想像と一致させている「具体」です。
3,4,5は、頭の中での pen の想像だけあり、現実に目の前にある pen とは一致させていない「抽象」です。
ところで、3,4と1,2、5では the がつくものとつかないものという違いがあります。
この違いは次のように説明できます。
3. the pen 「抽象」 = 「具体」と「抽象」が「不一致」
4. the pens 「抽象」 = 「具体」と「抽象」が「不一致」
→ 「話し手」と「聞き手」の「抽象」が「一致」
1. a pen 「具体」 = 「具体」と「抽象」が「一致」
2. pens 「具体」 = 「具体」と「抽象」が「一致」
5. pen 「抽象」 = 「具体」と「抽象」が「不一致」
→ 「話し手」と「聞き手」の「抽象」が「不一致」
以前に【a と the の違い】のところで次にように考えました。
the pen : theは「抽象」を表わす
→ 「話し手」と「聞き手」が共通のpen を想像することができる
→ 「話し手」と「聞き手」の「抽象」が「一致」
the がつく場合は、「話し手」と「聞き手」が同じ想像を共有している時に使用されます。
つまり、「話し手」と「聞き手」の「抽象」が「一致」しています。
一方、theがつかない場合は、「話し手」と「聞き手」が同じ想像を共有していない時に使用されます。
つまり、「話し手」と「聞き手」の「抽象」が「不一致」なのです。
the がつく場合 : 「話し手」と「聞き手」の「抽象」が「一致」
the がつかない場合 : 「話し手」と「聞き手」の「抽象」が「不一致」
以上のように、「具体」と「抽象」の「一致」と「不一致」という視点から “pen”を読み解くことができます。
【「集合」とは何か】
「集合」という概念についてさらに考えます。
【”pen” は何を表わしているか】のところで次にように考えました。
pen (無冠詞、不可算) : pen の「集合」を表わす
「集合」 : 要素(ミクロ)ではなく全体(マクロ)を表わす
「集合」 : 「抽象」を表わす
(頭の中で思考する概念であるため)
→ 無冠詞、不可算
「マクロ」 : 「抽象」を表わす
さて、この「集合」というマクロ的・抽象的な概念とは何かをもう一度考えてみたいと思います。
結論としては、例えば pen の集合は、penと pen でないものとの「区別」を表わしている、ということです。
この「区別」とは「線引き」のことです。
つまり、pen の集合は、pen と pen でないものとの「線引き」を表わしているのです。
「集合」
: 集合に含まれるものと含まれないものとの「区別」を表わしている
ポイントは、「集合」は「区別」・「線引き」のみを表わしているということです。
つまり、「集合」はその中に含まれる要素には全く焦点をあてていないのです。
そのため、「集合」は「数えない」のです。
「集合」
: 集合に含まれるものと含まれないものとの「区別」のみを表わしている
→ 集合に含まれる要素には全く焦点をあてていない
→ 無冠詞・不可算
(「抽象」を表わす)
以上のことを別の表現でいいかえると次のようになります。
「集合」 : 要素(ミクロ)ではなく全体(マクロ)を表わす
”pen” などの抽象名詞がなぜ無冠詞・不可算なのかは、この「集合」という抽象概念で考えるとわかりやすいのではないかと思います。
2012年12月2日日曜日
【「数えない」とはどういうことか】
「数えない」とは何を表わしているのでしょうか?
数える (可算) : 1つ1つの要素に焦点を当てている
数えない (不可算) : 全体に焦点を当てている
「数えない」とは、むしろ「数えられない」・「数える必要はない」ということを表わしていると考えられまます。なぜなら、1つ1つの構成要素は無視しているからです。
ところで、「全体」も1個と数えられるのではないかと思われるかもしれません。
しかし、そうではありません。「全体」をあえて「数えない」ことにすることによって、それが「集合」を表わしていることを英語は意図していると考えられます。
数えない (不可算) : 「集合」を表わす
「集合」とは「マクロ」でとらえた概念です。
前回取り上げた ”pen” はマクロ的にとらえたペンの集合を表わしています。
この「集合」・「マクロ」という概念は、現実には存在せず頭の中にだけ存在します。なぜなら、思考(イメージ)の産物だからです。したがって「集合」・「マクロ」は「抽象」を表わします。
つまり、「数えない」は「抽象」を表わすから「数えない」・「数えられない」のです。
一方、1つ1つの要素という「ミクロ」をとらえる「数える」名詞は「具体」を表わしています。
前回取り上げた ”a pen”, “pens” はミクロ的にとらえた1つ1つのペンを表わしています。
頭の中ではなく現実に目の前にものとして存在するものは「具体」です。したがって、「ミクロ」は「具体」を表わします。
つまり、「数える」は「具体」を表わすから「数える」・「数えられる」のです。
数える : 「ミクロ」を表わす → 「具体」 → 可算
数えない : 「集合」・「マクロ」を表わす → 「抽象」 → 不可算
ポイントは、英語はいつも「具体」と「抽象」を形で区別しようとするいうことです。
2012年12月1日土曜日
【"pen" は何を表わしているのか】
1. a pen (冠詞あり、可算、単数)
2. pens (冠詞あり(ゼロ冠詞)、可算、複数)
3. the pen (冠詞あり、可算、単数)
4. the pens (冠詞あり、可算、複数)
5. pen (無冠詞、不可算) = (抽象名詞)
このなかで 5.pen は何を表わしているのでしょうか?
まず、それぞれの具体の度合い、抽象の度合いを比較します。
a pen, pens > the pen, the pens > pen (「具体」の度合い)
a pen, pens < the pen, the pens < pen (「抽象」の度合い)
5のpen がもっとも抽象度が高いため「抽象名詞」とよばれています。
では、この抽象名詞 pen は何を表わしているのでしょうか?
当ブログでは次にように考えます。
pen (無冠詞、不可算) : pen の「集合」を表わす
「抽象」名詞 : 名詞の「集合」を表わす
「集合」 : 要素(ミクロ)ではなく全体(マクロ)を表わす
要は、「集合」とはそれを構成するひとつひとつの要素にではなく、あくまで全体のみに焦点を当てているのです。
マクロの視点である「集合」が不可算となるのは、ミクロの要素を数えることをしないからです。
そして、「集合」が「抽象」を表わすのは、ミクロが現実に目の前にある「具体」的な個々の要素を表わしているのに対して、マクロは頭の中で思考する「抽象」的な概念を表わしているためです。
「集合」 : 「抽象」を表わす
(頭の中で思考する概念であるため)
→ 無冠詞、不可算
「マクロ」 : 「抽象」を表わす
「ミクロ」 : 「具体」を表わす
以上をまとめると、5.pen は 「pen の集合」という「抽象」を表わしているのです。
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