2013年2月11日月曜日

【not について】




 not について考えます。

 not のポイントは「→」です。

 つまり、「右側」に「力」を及ぼします。


   ・ I’m not → sick now.

   ・ He didn’t → go there.

   ・ Not → a sound was heard. (物音ひとつ聞こえなかった。)

 
 not の使い方は、否定したい部分の前に置いてやることです。


【英語本】




 ヨ―スタイン・ゴルデル著・須田朗監修・池田香代子訳 『ソフィーの世界』 NHK出版、1995年

 「英語の抽象思考の特徴」についていろいろ調べているうちに、哲学者「カント」の「人間の認識」の特性についての議論が興味深かったので取り上げます。


   【カントの認識論】

  ・「ものを時間と空間のなかにとらえるのは、人間の生得的性質」

  ・「時間と空間は人間の側にある」

  ・「時間と空間はぼくたちの意識の特性」

  ・「人間の理性がすべての出来事を原因と結果の関係でとらえる」

  ・「因果律はぼくたちに生まれつきそなわっている」

   (P415~416)


 このカントの認識論の視点で英語の抽象思考の特徴を分析していきたいと思います。


【must にはなぜ「現在形」しかないのか】


   ・ I must finish my homework.  (~しなければならない)

   ・ He must be sick. because he looks pale.  (~にちがいない)


 助動詞 must には「現在形」しかありません。

 つまり、過去形がないのです。

 他の助動詞には過去形がちゃんとあります。 (would, could など)

 これはなぜでしょうか?

 当ブログの「具体」と「抽象」という視点で以下のように説明したいと思います。

 【助動詞】のところで次のように記載しました。


        ●動詞の現在形: 100%  (事実)「具体」

    助動詞の原形・過去形+動詞の原形: (推測)「抽象」
   ●must      90%  
      will       70%
       can        60%
    may     50%
     would    40%
     could    30%
     might    20%

       *数字は実現の度合いを表しています。


 注目してほしいところは●印のところです。

 musit の推測の度合いは90%です。

 これは具体的「事実」を表わす動詞の現在形(100%)に一番近い数字です。

 つまり、must の表わす内容は限りなく「事実」に近いのです。

 英語は「事実」を「現在形」で表わします。

 そして、must も限りなく「事実」に近いため「現在形」で表わされるのです。

 must の意味は「~しなければならない」・「~にちがいない」ですが、いずれも十分な根拠に基づいた断定であり、話し手は「~」をほぼ「事実」として認識しているのです。

 最後に、must に過去形がない理由ですが、これは過去形が具体的事実ではなく頭の中での想像を表わすため must とは相性がよくないからです。

 以上が、「must にはなぜ現在形がないのか」の理由であると当ブログでは考えます。


2013年2月10日日曜日

【英文読解】3


引き続き同じ英文を読み解きます。


 Many of the advantages of recycling are fairly obvious.  The more we use recycled materials, the less we need to use new materials.


 この英文での作者の抽象的ポジションは

 Many of the advantages of recycling are fairly obvious.

 でした。

 では、さらに分析をしていきましょう。

 この文の中で作者の抽象的ポジションが明確に述べられている箇所は、、

 fairly obvious

 です。

 
     fairly : かなり

     obvious : 明かな


 そして、さらに分析すると以下のようになります。


     fairly → obvious を肯定的にとらえていることを示唆している

     obvious → 見てすぐわかる、わかりきっている、を意味している
   
              clear : (疑念がないから)明らか

              obvious  : (目の前に見えているから)明らか


 つまり、fairly obvious は「もうわかりきっていますよ」、という感じです。

 「リサイクルにはたくさんのいいことがあるのは、もうわかりきっていますよ。」、という感じが作者の抽象的なポジション(立ち位置)です。

 したがって、単なるリサイクル賛成ではなく、「当然」大賛成・大賛成「当たり前」という感じがより正確です。

 以上のように、作者の抽象的ポジションをより正確に読みとくことが大切です。


2013年2月3日日曜日

【英文読解】2


 Many of the advantages of recycling are fairly obvious.  The more we use recycled materials, the less we need to use new materials.


 まず、この英文での作者の「抽象」的ポジションは何でしょうか。

 Many of the advantages of recycling are fairly obvious.

 (リサイクルには多くの利点があることは、かなり明らかである。)

 それは、「リサイクル大賛成」というポジションです。

 では、「リサイクル大賛成」という「抽象」的ポジションを維持するための「理由」は何でしょうか。

  The more we use recycled materials, the less we need to use new materials.

 (リサイクルされた材料をたくさん使えば使うほど、それだけますます新たな原料を使う必要がなくなる。)

 つまり、「資源の節約」が、「リサイクル大賛成」という「抽象」的ポジションを維持するための理由です。

 the + 比較級 ~、 the + 比較級 ・・・ 「~すればするほど、ますます・・・」

 以上のように、作者の「抽象」的ポジションと、そのポジションを維持するための理由を読み解いていくのが当ブログの読解法です。

 かなりシンプルですが、このシンプルさが重要だと思います。


【英文読解】1


 英文読解を取り上げていきます。

 まず、当ブログの英文読解方法を提示します。

 
     【「具体」と「抽象」でよみとく英文読解】

     ・「抽象」 : 作者の「意見」

              「意見」は頭の中で想像する「抽象」的な思考

                →作者の「抽象」的な意見をよみとく

              →作者の「抽象」的ポジションをよみとく

     ・英語の特徴 : 「抽象」的ポジションを維持するためには必ず理由が必要

                 →その理由をよみとく

     ・「具体」 : 「抽象」的ポジションをサポートするための具体例や事実など


 ポイントは、作者の「意見」、すなわち、「抽象」的ポジションをよみとくことです。

 「抽象」的ポジションとは、作者の「抽象」的な立ち位置です。

 例えば、「喫煙に反対である」、という意見を作者が英文に書いたとします。

 この場合、「喫煙に反対である」、というのが作者の「抽象」的ポジションです。

 そして、この「抽象」的ポジションを維持するために、作者はその理由を論じなければならないのです。

 なぜなら、英語では、理由がなければその「抽象」的ポジションを維持できないからです。

 日本語の場合はとくに理由を説明しなくてもなんとなくですますことができますが、英語ではそれが通用しません。

 この英語の特徴をとらえる読解方法が当ブログの読解方法です。


【英語本】




 横山雅彦 『横山ロジカル・リーディング講義の実況中継』 語学春秋社、2001年

 大学受験の英文読解において、革命的な方法を考案されたのは、やはり横山先生だと思われます。

 横山先生の「ロジカル・リーディング」は、英語の論証方法の特徴を非常によくとらえた読解方法だと思われます。

 これから当ブログでも「英文読解」を取り上げていきます。

 もちろん、横山先生の「ロジカル・リーディング」とは異なる方法論を採用します。

 それは「英語の論証方法の特徴をとらえる」という点では共通していますが、当ブログでは「抽象」思考に焦点をあてた読解法を取り上げていきたいと思います。


2013年2月2日土曜日

【英語本】




 町田健 『町田教授の英語のしくみがわかる言語学講義』 研究社、2002年

 英語の特徴を他の言語と比較しながらわかりやすく説明しています。

 特に「英語の時制」についての記述が印象的でした。

 以下引用です。


      時制とアスペクト

  •  英語の時制の特徴は、世界の諸言語の中でも、とりわけ複雑なしくみをもっているということです。現在、過去、未来という基本的な時制はもちろん、英語には、私たち日本人には特にわかりにくいと言われる「現在完了」という時制があります。

  •  そして、現在現在完了だけでなくて、過去の時点よりも前に起こった事柄を表わす「過去完了」時制と、未来の時点よりも前に起こった事柄を表わす「未来完了」時制もあります。

  •  とにかく、英語には、考えられる限りのありとあらゆる時制があると言っても言い過ぎではないくらいなのでして、こういうほとんどカンペキな時制のしくみがあるというのは、英語の大切な特徴だと言えると思います。(P10~11)


 現在形以外の時制は、頭の中で想像するヴァーチャルな「抽象」的世界です。

 この英語の複雑で完成された時制の体系は、英語がやはり「抽象」思考を得意としていることを表わしていると思われます。