2014年5月4日日曜日

【maybeの意味】


maybe という語について考えます。


    maybe : たぶん


ではこれから、当ブログでの考え方を示します。

【mayとは何か】のことろで次にように考えました。


   助動詞の原形・過去形 + 動詞の原形 = 「抽象」 = 「推測」を表す

   may     50%  (実現可能性の度合い)


   【may の意味】

   may  : 「客観的な実現可能性が50%という推測」を表わす

         → may の意味は1つ

         → 文脈に応じて「~してもよい」、「~かもしれない」と訳す


以上をふまえると、maybe の意味は次のようになります。


   【maybeの意味】

   maybe : 「客観的な実現可能性が50%であるという推測」

          →文脈に応じて「たぶん」、「ひょっとすると」などと訳せばいい

           (副詞なので、文全体や動詞に合うように訳せばいい)


 maybe は、字のごとく may + be です。

 ですから、字のごとく 「客観的な実現可能性が50%」+「である」を意味しています。

 そして、maybe は副詞ですから、文全体や動詞に対して力を及ぼしていますので、maybe の後にくる文全体や動詞にうまく合うように訳してあげればいいのです。

2014年4月6日日曜日

【時制の種類】


英語の時制には次の12種類があると考えられます。



   ・現在形   1

   ・過去形   1

   ・未来形(助動詞)  1(まとめて)

   ・進行形(現在・過去・未来)  3

   ・完了形(現在・過去・未来)  3

   ・完了形+進行形(現在・過去・未来)  3



 以上の合計12種類です。



 では、この12種類の時制を、【具体】と【抽象】に区別してみると以下のようになります。



   【具体】 (目の前の具体的な事実を表す)
 
     ・現在形  1

      →合計1



   【抽象】 (頭の中で抽象的に思考する仮説や推測を表す)

     ・過去形   1

     ・未来形(助動詞)  1(まとめて)

     ・進行形(現在・過去・未来)  3

     ・完了形(現在・過去・未来)  3

     ・完了形+進行形(現在・過去・未来)  3

      →合計11



 以上から言えることは、「英語は時間を圧倒的に【抽象的に】とらえている」、ということです。

 具体的な目の前に流れる時間よりも、頭の中での抽象的な思考によって、時間をとらえる傾向が強いのが英語の特徴です。

 日本語の時制よりも英語の時制のほうが複雑なのは、英語のこの特徴によるものであると、当ブログは考えます。

2013年3月13日水曜日

【文型:SVX】


 英語の文型について考えます。

 「5文型」が代表的な文型ですが、当ブログでは次のような文型も提案します。


     【英語の基本文型】

      S + V + X

       S : 主語

       V : 動詞

         X : 動詞がとるいろいろな形  (エックス)


 文型とは何でしょうか。

 当ブログでは、文型とは「動詞がとるいろいろな形」を表したものであると考えます。

 そして、この考え方でとらえると文型は結局1つに収束します。

 それが「SVX」という文型です。

 ポイントは、「動詞がどのような形をとるのか」に注目すると英語が理解しやすくなるということです。

 動詞のとる形が見えてくると、英語の構造が見えてきます。

 英語の構造が見えてくると、英語力は飛躍的にUPしていくと思います。


【「再帰代名詞」の使い方と英語の視点】




 池上嘉彦 『英語の感覚・日本語の感覚』 NHK出版、2006年

 英語が日本語よりも「抽象的」な表現を得意としている例を、この本から取り上げます。

 それは「再帰代名詞」の使い方です。

 以下引用です。


  •  同じ状況を言語化していながら、英語のほうでは再帰代名詞を用いるのに対して、日本語のほうでは「自分自身」というような言い方をせず、せいぜい<身体>とか、<頭>、<首>といった<身体部位>を表す表現で処理するということである。

  •  たとえば、”He hanged himself.” や “He washed himself.” といった文は “He hanged the robber.” とか “He washed the body.” といった他者への働きかけを表す文と表現の形式はまったく同じであり、hang や wash という語の他動詞としての使い方もそれぞれの2つの文ではまったく同じである。

  •  ということは、再帰代名詞を用いている表現でも、再帰代名詞として表されている<自分自身>は行為を蒙る対象としての<他者>並みに扱われているということである。

  •  英語の話し手は自分自身を客体化し、他者として捉えてみるという心理的操作に関しては、日本語の話し手に較べると、はるかに抵抗感なくやってのけることができように思える。(P168)


 自分自身を客観的に捉えることは、自分自身を「抽象的」に捉えていることを意味しています。

 そして、英語は日本語よりもはるかに抵抗なく「抽象」的な視点をやってのけることができるのです。

 当ブログの【英語の視点と日本語の視点】のところで以下のような指摘をしました。


    英語の視点 : 「鳥瞰図的視点」 

              → 主観的視点 + 客観的視点

              → 「具体」だけでなく「抽象」もみえる

              → 自分自身も客観的にみえている

              → 主語を省略しない


   日本語の視点 : 「埋没的視点」 

              → 主観的視点のみ

              → 目の前の「具体」だけがみえる

              → 自分自身が客観的にみえていない

              → 主語の省略


 「再帰代名詞」の使い方にも上記の視点の違いが反映されていると思われます。


2013年3月10日日曜日

【address の意味】


“address “ という動詞にはいろいろな意味があります。


   ・~に演説する
   ・~に話かける
   ・~を(・・と)敬称で呼ぶ
   ・~に宛先を書く
   ・~に向けてじかに言う
   ・~に取り組む
   ・(ゴルフ)~に狙いをつける  など


 では、どうすればこれらを覚えることができるでしょうか。

 おすすめは、英英辞書で覚えることです。

 英単語の語感を身につけるには、英語を日本語でとらえるのではなく、英語を英語でとらえることが効果的です。

 なぜなら、これは英語の上級者なら誰でももっている経験的な直観だからです。

 では、address の英語の意味をみてみましょう。


      【address】の意味

       1.   to write on an envelope,  packages etc.  the name and address of the person you are sending it to

       2.   ≪formal≫ to discuss,  think about,  or do something about a particular problem or questions,  especially with the aim of solving a problem.

       3.   to make a speech to a large group of people

       4.   to use a particular title or name when speaking or writing to someone

       5.   ≪formal≫ to speak directly to someone


 1は「~に宛名を書く」という意味です。

 「~」には宛名を書く対象である封筒、パッケージなどがきます。

 これが address の基本的な意味です。

 そして、2からは、この基本的な意味が抽象的に拡張されていきます。

 では、どのような意味の拡張となっているのでしょうか。

 
     ~に宛名を書く 

     ↓

     「~に焦点を当てて行動する」

     ↓

     ~について取り組む、考える、議論する

     ↓

     ~に向けてじかに話す、~に向けて演説する など


 ポイントは「~に焦点を当てて行動する」です。

 焦点を当てる対象は、「封筒」などから「問題」などへと拡張されています。

 行動する内容は、「宛名を書く」から「取り組む、考える、議論する、話す、演説する」などへと拡張されています。

 以上のように、ある英単語の基本点な意味と、そこから抽象的に拡張された意味をおおまかにイメージしておくことが大切です。

 そうすれば覚えやすくなります。

 最後に例文で確認するとさらに覚えやすくなります。


      【address】の意味

    1.   I addressed the letter to Mr. Suzuki.

        2.   The comment addresses  the problems of poverty in the country.

        3.   He addressed a rally in New York.

        4.   You had better address him as “Dr. Suzuki.”

        5.   He turned to address her asking the question.


2013年3月4日月曜日

【on time の意味】


 on time の意味について考えます。


     on time  : 時間どおりに

      The bus arrived on time.


 ではなぜ on time の意味は「時間どおりに」なのでしょうか?
 
 当ブログでは以下のように考えます。

 【at, on, in の使い分け】2のところで以下のように考えました。


      on : 「面」を表わす

           ニ次元空間

           「面」に接していると感じる時に使われる

           → 「動作」を表わす


      on : 「川」を表わしている感じ

           動いている感じ

           → 「動作」


      「場所」を表わす on, が拡張」されて「時間」や「動作」も表わすようになった


 以上のことから on time のニュアンスは以下のとおりとなります。


       on time  : ある特定の時間の流れにのって動いている感じ

               →「時間どおりに」


       The bus arrived on time.

       : バスが「運行時刻表」という時間の流れにのって動いて着いた

         →「バスが時間どおりに到着した。」


 on は「動作」という感覚をもつと、いろいろな慣用表現の意味を理解ですることができると思います。


2013年2月11日月曜日

【not について】




 not について考えます。

 not のポイントは「→」です。

 つまり、「右側」に「力」を及ぼします。


   ・ I’m not → sick now.

   ・ He didn’t → go there.

   ・ Not → a sound was heard. (物音ひとつ聞こえなかった。)

 
 not の使い方は、否定したい部分の前に置いてやることです。


【英語本】




 ヨ―スタイン・ゴルデル著・須田朗監修・池田香代子訳 『ソフィーの世界』 NHK出版、1995年

 「英語の抽象思考の特徴」についていろいろ調べているうちに、哲学者「カント」の「人間の認識」の特性についての議論が興味深かったので取り上げます。


   【カントの認識論】

  ・「ものを時間と空間のなかにとらえるのは、人間の生得的性質」

  ・「時間と空間は人間の側にある」

  ・「時間と空間はぼくたちの意識の特性」

  ・「人間の理性がすべての出来事を原因と結果の関係でとらえる」

  ・「因果律はぼくたちに生まれつきそなわっている」

   (P415~416)


 このカントの認識論の視点で英語の抽象思考の特徴を分析していきたいと思います。


【must にはなぜ「現在形」しかないのか】


   ・ I must finish my homework.  (~しなければならない)

   ・ He must be sick. because he looks pale.  (~にちがいない)


 助動詞 must には「現在形」しかありません。

 つまり、過去形がないのです。

 他の助動詞には過去形がちゃんとあります。 (would, could など)

 これはなぜでしょうか?

 当ブログの「具体」と「抽象」という視点で以下のように説明したいと思います。

 【助動詞】のところで次のように記載しました。


        ●動詞の現在形: 100%  (事実)「具体」

    助動詞の原形・過去形+動詞の原形: (推測)「抽象」
   ●must      90%  
      will       70%
       can        60%
    may     50%
     would    40%
     could    30%
     might    20%

       *数字は実現の度合いを表しています。


 注目してほしいところは●印のところです。

 musit の推測の度合いは90%です。

 これは具体的「事実」を表わす動詞の現在形(100%)に一番近い数字です。

 つまり、must の表わす内容は限りなく「事実」に近いのです。

 英語は「事実」を「現在形」で表わします。

 そして、must も限りなく「事実」に近いため「現在形」で表わされるのです。

 must の意味は「~しなければならない」・「~にちがいない」ですが、いずれも十分な根拠に基づいた断定であり、話し手は「~」をほぼ「事実」として認識しているのです。

 最後に、must に過去形がない理由ですが、これは過去形が具体的事実ではなく頭の中での想像を表わすため must とは相性がよくないからです。

 以上が、「must にはなぜ現在形がないのか」の理由であると当ブログでは考えます。


2013年2月10日日曜日

【英文読解】3


引き続き同じ英文を読み解きます。


 Many of the advantages of recycling are fairly obvious.  The more we use recycled materials, the less we need to use new materials.


 この英文での作者の抽象的ポジションは

 Many of the advantages of recycling are fairly obvious.

 でした。

 では、さらに分析をしていきましょう。

 この文の中で作者の抽象的ポジションが明確に述べられている箇所は、、

 fairly obvious

 です。

 
     fairly : かなり

     obvious : 明かな


 そして、さらに分析すると以下のようになります。


     fairly → obvious を肯定的にとらえていることを示唆している

     obvious → 見てすぐわかる、わかりきっている、を意味している
   
              clear : (疑念がないから)明らか

              obvious  : (目の前に見えているから)明らか


 つまり、fairly obvious は「もうわかりきっていますよ」、という感じです。

 「リサイクルにはたくさんのいいことがあるのは、もうわかりきっていますよ。」、という感じが作者の抽象的なポジション(立ち位置)です。

 したがって、単なるリサイクル賛成ではなく、「当然」大賛成・大賛成「当たり前」という感じがより正確です。

 以上のように、作者の抽象的ポジションをより正確に読みとくことが大切です。


2013年2月3日日曜日

【英文読解】2


 Many of the advantages of recycling are fairly obvious.  The more we use recycled materials, the less we need to use new materials.


 まず、この英文での作者の「抽象」的ポジションは何でしょうか。

 Many of the advantages of recycling are fairly obvious.

 (リサイクルには多くの利点があることは、かなり明らかである。)

 それは、「リサイクル大賛成」というポジションです。

 では、「リサイクル大賛成」という「抽象」的ポジションを維持するための「理由」は何でしょうか。

  The more we use recycled materials, the less we need to use new materials.

 (リサイクルされた材料をたくさん使えば使うほど、それだけますます新たな原料を使う必要がなくなる。)

 つまり、「資源の節約」が、「リサイクル大賛成」という「抽象」的ポジションを維持するための理由です。

 the + 比較級 ~、 the + 比較級 ・・・ 「~すればするほど、ますます・・・」

 以上のように、作者の「抽象」的ポジションと、そのポジションを維持するための理由を読み解いていくのが当ブログの読解法です。

 かなりシンプルですが、このシンプルさが重要だと思います。


【英文読解】1


 英文読解を取り上げていきます。

 まず、当ブログの英文読解方法を提示します。

 
     【「具体」と「抽象」でよみとく英文読解】

     ・「抽象」 : 作者の「意見」

              「意見」は頭の中で想像する「抽象」的な思考

                →作者の「抽象」的な意見をよみとく

              →作者の「抽象」的ポジションをよみとく

     ・英語の特徴 : 「抽象」的ポジションを維持するためには必ず理由が必要

                 →その理由をよみとく

     ・「具体」 : 「抽象」的ポジションをサポートするための具体例や事実など


 ポイントは、作者の「意見」、すなわち、「抽象」的ポジションをよみとくことです。

 「抽象」的ポジションとは、作者の「抽象」的な立ち位置です。

 例えば、「喫煙に反対である」、という意見を作者が英文に書いたとします。

 この場合、「喫煙に反対である」、というのが作者の「抽象」的ポジションです。

 そして、この「抽象」的ポジションを維持するために、作者はその理由を論じなければならないのです。

 なぜなら、英語では、理由がなければその「抽象」的ポジションを維持できないからです。

 日本語の場合はとくに理由を説明しなくてもなんとなくですますことができますが、英語ではそれが通用しません。

 この英語の特徴をとらえる読解方法が当ブログの読解方法です。


【英語本】




 横山雅彦 『横山ロジカル・リーディング講義の実況中継』 語学春秋社、2001年

 大学受験の英文読解において、革命的な方法を考案されたのは、やはり横山先生だと思われます。

 横山先生の「ロジカル・リーディング」は、英語の論証方法の特徴を非常によくとらえた読解方法だと思われます。

 これから当ブログでも「英文読解」を取り上げていきます。

 もちろん、横山先生の「ロジカル・リーディング」とは異なる方法論を採用します。

 それは「英語の論証方法の特徴をとらえる」という点では共通していますが、当ブログでは「抽象」思考に焦点をあてた読解法を取り上げていきたいと思います。


2013年2月2日土曜日

【英語本】




 町田健 『町田教授の英語のしくみがわかる言語学講義』 研究社、2002年

 英語の特徴を他の言語と比較しながらわかりやすく説明しています。

 特に「英語の時制」についての記述が印象的でした。

 以下引用です。


      時制とアスペクト

  •  英語の時制の特徴は、世界の諸言語の中でも、とりわけ複雑なしくみをもっているということです。現在、過去、未来という基本的な時制はもちろん、英語には、私たち日本人には特にわかりにくいと言われる「現在完了」という時制があります。

  •  そして、現在現在完了だけでなくて、過去の時点よりも前に起こった事柄を表わす「過去完了」時制と、未来の時点よりも前に起こった事柄を表わす「未来完了」時制もあります。

  •  とにかく、英語には、考えられる限りのありとあらゆる時制があると言っても言い過ぎではないくらいなのでして、こういうほとんどカンペキな時制のしくみがあるというのは、英語の大切な特徴だと言えると思います。(P10~11)


 現在形以外の時制は、頭の中で想像するヴァーチャルな「抽象」的世界です。

 この英語の複雑で完成された時制の体系は、英語がやはり「抽象」思考を得意としていることを表わしていると思われます。


2013年1月27日日曜日

【語彙】


 「可算」・「不可算」両方の形・意味をもつ名詞について考えます。

 
      【fire】  

       可算: 火事・料理用の火  (具体)

       不可算: 火・火災  (抽象)


      【room】

       可算: 部屋・室  (具体)
 
       不可算: 空間  (抽象)


      【trouble】

       可算: もめごと  (具体)

       不可算: 悩み・迷惑  (抽象)


      【land】

       可算: 国・領域  (具体)

       不可算: 陸  (抽象)


 実はものすごいたくさんの名詞が可算・不可算両方の形・意味をもっています。

 辞書をみると、C:(Countable)(可算)、U:(Uncountable)(不可算)と記載されています。

 では、なぜこれほどたくさんの名詞が両方の形・意味をもつのでしょうか。

 それは、話し手がある名詞を「具体」的なものとととらえれば可算の形・意味となり、「抽象」的なものととらえれば不可算の形・意味となるからです。

 今、目の前にあるもので頭の中の想像と一致するものが「具体」です。

 つまり、現実に存在する個別的な事実が「具体」です。

 今、目の前になく頭の中の想像とは一致しないものが「抽象」です。

 つまり、頭の中の想像だけのものが「抽象」です。

 ポイントは、英語には「具体」と「抽象」を形で「区別」しようとする特徴がある、ということです。


2013年1月26日土曜日

【数量詞】


 「数量」の表わす表現(数量詞)について考えます。


     【数】を表わすもの = 「具体」を表わす

     ・many ~ (多くの~)

     ・few ~ (ほとんど~がない)

     ・a few ~ (少しの~)

     *~には「具体」を表わす「数えられる」名詞がくる

     例:  many books


     【量】を表わすもの = 「抽象」を表わす

     ・much ~ (多くの~)

     ・little ~ (ほとんど~がない)

     ・a little ~ (少しの~)

     *~には「抽象」を表わす「数えられない」名詞がくる

     例:  much information


     【数・量】両方を表わすもの = 「具体」・抽象」両方を表わす

     ・a lot of ~ (たくさんの~)
   
     ・some ~ (いくつかの~)

     *~には「具体」・「抽象」どちらの「可算」・「不可算」名詞もくる

     例: a lot of books,  a lot of information


 他にもいろいろな表現があります。

 ポイントは、「具体」を表わす名詞に対しては「具体」を表わす数量詞が、「抽象」を表わす名詞に対しては「抽象」を表わす数量詞がそれぞれ使い分けられている、ということです。


【英語本】




 石井隆之 『前置詞マスター教本』 ベレ出版、2002年

 当ブログの【at, on, in の使い分け】の参考文献として活用させていただきました。

 まさに前置詞の辞書という感じです。

 前置詞は奥が深いので、さらに理解を深めたい方へ一度挑戦していただきたい一冊だと思います。


【at, on, in の使い分け】2


 前回の【at, on, in の使い分け】の続編です。

 おなじみの慣用表現に次のようなものがあります。


    ・on ~ ing   「~するとすぐに」  = as soon as ~

    ・in ~ ing  「~する時」  = when ~

    * at ~ ing という表現はない


 ところで、なぜ on ~ ing の訳は「~する時」ではなく「~するとすぐに」となるのでしょうか。

 また、なぜ at ~ ing という表現はないのでしょうか。

 他にも次のような単語もあります。

 
    ・onto  「~の上へ」

    ・into  「~の中へ」

    * atto という表現はない。


 では説明します。

 前回の「at, on, in の使い分け」のところで次のようにまとめました。


      at  : 「点」を表わす

          一次元空間

          「目の前」にある「点」と感じる時に使われる


      on : 「面」を表わす

           ニ次元空間

           「面」に接していると感じる時に使われる


      in  : 「立体的空間」を表わす

           三次元空間

           「立体的空間」に包まれていると感じる時に使われる


 これにもう一つの視点を付け加えると次のようになります。


      at  : 「点」を表わす

          一次元空間

          「目の前」にある「点」と感じる時に使われる

          → 「状態」を表わす


      on : 「面」を表わす

           ニ次元空間

           「面」に接していると感じる時に使われる

           → 「動作」を表わす


      in  : 「立体的空間」を表わす

           三次元空間

           「立体的空間」に包まれていると感じる時に使われる

           → 「状態」・「動作」を表わす


 この「状態」・「動作」とは次のような感じです。


      「状態」 : 静的、安定している

      「動作」 ; 動的、変動している


 そして、at, on, to の「状態」・「動作」の感じをつかむには次のような「山・川・海」という比喩がわかりやすいと当ブログでは考えます。


      at  : 「山」を表わしている感じ

          静止している感じ

          → 「状態」


      on : 「川」を表わしている感じ

           動いている感じ

           → 「動作」


      in  : 「海」を表わしている感じ

           川に比べれば静止しているが山よりも動きがある感じ

           → 「状態」・「動作」


 つまり、次のような関係にあります。


      at  > in > on  (「状態」の程度)

      at < in <  on  (「動作」の程度)


 以上をふまえて冒頭の慣用表現をもう一度みてみましょう。


    ・on ~ ing   「~するとすぐに」  = as soon as ~ 「動作」

    ・in ~ ing  「~する時」  = when ~ 「状態」・「動作」

    * at ~ ing という表現はない (「動作」を表わせないから使えない


 つまり、on が強い「動作」を表わすため、「時間+強い動作」を表わす訳として「~するとすぐに」となります。

 一方、in は on よりも弱い「動作」を表わすため、「時間+弱い動作」を表わす訳として「~するとき」となります。

 もともとは「場所」を表わす on, in が次第に「拡張」されて「時間」や「動作」も表わすようになったのです。